令和7年度 税制改正で企業型DCの魅力が向上!会社側のメリット大

令和7年度法改正 iDeCo(個人型確定拠出年金)

経営者が様々な福利厚生を検討される中で、「企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)」という言葉を耳にする機会も増えているかもしれません。

今、企業型DCの導入を検討されている経営者が増えています。

NISAやiDeCoといった個人向け資産形成制度がある中で、企業型DCは企業と従業員の双方にメリットをもたらす、まさに老後を不安視する従業員が多い中、「老後のための応援福利厚生」となります。

そして、この企業型DCが、令和7年度の税制改正大綱において、さらに魅力的な制度へと進化する提言がされました。今回は、この税制改正のポイントと、企業型DCが貴社の「人材戦略」と「財務戦略」にいかに貢献するかをお伝えします。

企業型DCは「会社と従業員の未来を育む制度」です

企業型DCとは、企業が掛金を拠出し、従業員がマッチング拠出で上乗せできる仕組みの確定拠出年金です。企業が導入する福利厚生制度であり、その最大の特徴は、企業が拠出した掛金が全額損金算入でき、かつ従業員にとっては非課税扱いとなる点です。

さらに、この企業拠出分は社会保険料の対象外となります。(この点においては、保険料負担軽減があるものの、デメリットもあるため、導入時に十分な説明を行います。)

個人型のiDeCoが加入者本人の可処分所得から積み立てを行うのに対し、企業型DCは会社が掛金の一部または全部を負担するため、従業員はより手軽に老後資金形成を始められます。

また、非課税制度のNISAが「いつでも売却可能な自由投資枠」であるのに対し、確定拠出年金は「老後資金を準備する」ことを主目的として設計されており、原則60歳になるまでは資金を引き出せない「老後資金専用枠」という特徴があります。

令和7年度税制改正で、企業型DCの魅力がさらに向上!

令和7年度税制改正大綱では、確定拠出年金について以下の大きな見直しが提言されました(開始時期は未定)。これらは、企業型DCを導入されている企業様にとっても、これから導入を検討される企業様にとっても、見逃せないポイントです。

区分 現行(月額上限) 改正後(予定)
会社員(企業年金あり)

合計で月5.5万円

(iDeCoの上限は2万円)

同6.2万円

(iDeCoの上限は撤廃)

会社員(企業年金なし) iDeCoで月2.3万円 同6.2万円
自営業 国民年金基金の拠出額と合計で月6.8万円 同7.5万円

掛金限度額の引き上げ

現行の企業型DCの月額上限は5.5万円ですが、改正後には6.2万円へと引き上げられる方向です。これは、従業員がより多くの資金を税制優遇を受けながら積み立てられるようになることを意味します。老後資金形成の加速が期待できるだけでなく、企業型DCの福利厚生としての価値が一段と高まります。

マッチング拠出の制限撤廃

現行制度では、「事業主掛金を超える加入者の拠出はできない」という制限がありましたが、この制限が撤廃されることで、事業主掛金を超えて従業員自身が掛金を拠出することが可能になります。

これにより、従業員は会社の掛金に加えて、さらに積極的に自己資金で老後資金を準備できるようになります。

iDeCo加入・拠出期間の延長

企業型DCとは直接関係ありませんが、確定拠出年金制度全体の動きとして、iDeCoの拠出期間も従来の65歳までから最長70歳未満まで延長される方向です。これは、高年齢者が再雇用や多様な就労形態で長く働くこれからの時代に即した制度へと進化するものであり、長期化する社会において、生涯を通じた資産形成の選択肢が広がることを示唆しています。

社長様にとっての「攻めの福利厚生」としての企業型DC

今回の税制改正は、企業型DCを単なる福利厚生ではなく、企業の成長戦略の一環として位置づける大きな後押しとなります。

優秀な人材の獲得と定着に貢献

手厚い老後資金形成支援は、従業員にとって魅力的なインセンティブとなります。特に税制優遇が手厚く、企業が掛金を負担する企業型DCは、他社との差別化を図る強力なツールです。

企業の節税効果と社会保険料の最適化

企業が拠出する掛金は全額損金算入できるため、法人税の負担軽減に繋がります。また、社会保険料の対象外であることも、注目したい点です。

従業員のエンゲージメント向上と安心感の提供

会社が従業員の老後まで見据えた支援を行うことは、従業員の会社への帰属意識やモチベーションを高めます。従業員が安心して長く働ける環境を提供することは、企業の持続的な成長に不可欠です。

まとめ

NISAやiDeCoなど、資産形成の選択肢が増える中で、企業型DCは「老後資金専用枠」として、そして「企業が従業員の老後を支える福利厚生」として、他にはない独自の強みを持っています。

今回の税制改正により、拠出枠の拡大や制度の柔軟化が進むことで、企業型DCへの関心はさらに高まり、経営者様からの問い合わせが増えることが予想されます。

ぜひこの機会に、企業型DCの導入、または既存制度の見直しをご検討ください。従業員の未来を守り、会社の魅力を高める「攻めの福利厚生」として、企業型DCが貴社の経営戦略に貢献することを確信しております。

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