【社長・役員・経営者向け】企業型DCとiDeCo、どっちを選ぶべき?

企業型DCとiDeCo、どっちを選ぶべき? iDeCo(個人型確定拠出年金)

確定拠出年金(DC)に興味をお持ちの経営者の皆さんに向けて、企業型DC(以下、企業型)と個人型iDeCo(以下、iDeCo)の比較ポイントをわかりやすくお伝えします。

それぞれの特徴と、経営者にとってのメリット・デメリットを整理して、自社や自身に最適な選択を見つけましょう。


1. 確定拠出年金とは?

確定拠出年金は、老後資金の準備を目的とした年金制度で、「企業型DC」「個人型iDeCo」があります。
一般の従業員はiDeCoのみの選択肢が基本ですが、経営者は自社で企業型を導入することで、これらの選択肢を広げられます。選択肢が増える分、どの制度が最も効果的かを理解して導入することが重要です。


2. 老後資金額で比較:積立額の差

まずは、どれくらいの老後資金を準備できるのかを確認しましょう。

  • 企業型DC
    • 拠出上限:月額55,000円(DB併用時は27,500円)
    • 拠出可能期間:70歳まで
  • 個人型iDeCo
    • 拠出上限:月額23,000円(厚生年金加入者の場合)
    • 拠出可能期間:65歳まで

例えば、40歳の経営者が最大拠出額で積立を行った場合、単純計算で以下の金額が老後資金として積み上がります(運用益は考慮せず)。

  • 企業型:1,980万円(30年間拠出)
  • iDeCo:552万円(20年間拠出)

積立可能額の差が老後資金に直接影響するため、資金準備という観点では企業型のほうが圧倒的に有利です。


3. 税制優遇で比較:会社・個人双方のメリット

確定拠出年金の大きな魅力は、税制優遇です。企業型とiDeCo、それぞれの節税効果を確認しましょう。

企業型DC

  • 会社のメリット
    • 掛金は全額損金計上可能(法人税率15%としても節税効果大)
    • 社会保険料の算定対象外(役員報酬と比較して負担減)
  • 個人のメリット
    • 直接拠出のため、給与の一部ではなく新たな資金として年金口座に蓄積。

iDeCo

個人のメリット

    • 掛金全額が所得控除対象(所得税率10%、住民税10%と仮定して20%節税)。

4. 費用対効果で考える

費用対効果の観点で比較する際に重要なのは、企業型が役員報酬とは別枠で掛金を設定できる点です。この点で企業型のほうが税制面・拠出金額の両面で優れています。

  • 企業型は、会社が直接掛金を拠出するため、社会保険料の負担が発生しません。そのため、会社側のコストを最小限に抑えながら、経営者自身の老後資金を大きく増やすことが可能です。
  • iDeCoは、個人で拠出するため、節税効果はあるものの、社会保険料に変化はありません。

5. まとめ:どっちを選ぶべき?

企業型DCを選ぶべき人:

  • 老後資金を最大化したい。
  • 節税効果を期待したい。
  • 従業員向けの福利厚生としても活用したい。

iDeCoを選ぶべき人:

  • 個人事業主やフリーランスで、企業型が利用できない。
  • 自社で企業型を導入する余裕がない小規模な会社の経営者。

 

社労士みなみ
社労士みなみ

経営者様とお話しさせていただく中で、時折ご自身の退職金について準備をされていないというお話を耳にすることがあります。そのたびに、「本当にそれで大丈夫ですか?」と強く感じます。

 

従業員の給与や退職金の準備には気を配っている経営者様も、ご自身の老後資金や退職金の準備は後回しにされるケースが少なくありません。しかし、経営者ご自身の退職金は、これまで築いてきた会社経営の努力に対する報酬であり、老後の安心を支える大切な基盤です。

 

もし、退職金の準備が不十分な場合、いざ引退を考えたときに、生活費の不安や会社経営から手を引けないという状況に陥るリスクがあります。

 

経営者として会社を守ることはもちろんですが、同時にご自身の人生設計も考えることが、より良い経営につながると私は思っています。

 

「いま」から備えることが将来の安心につながります。ぜひ一度、退職金や老後資金の準備について真剣に考えてみませんか?

企業型DCの導入で気になるのが必要なコストですよね。コストについてはこちらで解説しています。企業型確定拠出年金(企業型DC)導入にかかる費用と期間を徹底解説

 

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