企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)は、企業が従業員のために掛金を拠出し、従業員個人が運用する年金制度です。老後の資産形成に役立つ一方で、企業の経営破綻や個人の経済的困窮時にどうなるのか気になる方も多いでしょう。
ここでは、会社が倒産した場合と、個人が自己破産した場合の企業型DCの取り扱いについて分けて解説します。
1. 会社が倒産して自己破綻した場合
企業型DCの積立資産はどうなる?
企業型DCに積み立てられた資産は、会社の財産ではなく従業員個人の財産として扱われます。このため、会社が破綻しても年金資産が失われることはありません。
確定拠出年金法第32条では、給付を受ける権利について以下のように定められています。
「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし老齢給付金及び死亡一時金を受ける権利を国税滞納処分により差し押さえる場合は、この限りではない。」
これに基づき、自己破産したとしても企業型DCで積み立てた資産は原則として差し押さえられることはありません。つまり、会社が破産した場合でも、積み立てた老後資金はそのまま保全されます。
さらに安全な理由として、
企業型DCの資産は、年金制度を運営する信託銀行や保険会社が管理しており、会社の財産とは法的に分離されています。そのため、会社が倒産しても、年金資産が債権者に差し押さえられることはありません。
2. 個人が自己破産した場合
確定拠出年金資産は差し押さえの対象外
確定拠出年金法第32条により、自己破産した場合でも企業型DCで積み立てた資産は原則として差し押さえの対象になりません。
確定拠出年金法では、「給付を受ける権利は譲渡や差し押さえができない」と定められています。このため、自己破産しても年金資産は守られ、老後資金として保全されます。
給付開始後は注意
老齢給付金の受給権が発生する65歳前に自己破産した場合、年金資産はそのまま保全されます。ただし、給付開始後の受給金については、受け取った後の現金として扱われるため、通常の収入と同様の取り扱いを受ける可能性があります。
確定拠出年金は差し押さえの対象外となるため、社長や従業員にとって老後資金を守る有効な手段とも言えます。
コメント