節税と退職金を両立!経営者(社長)が知るべき共済制度と年金活用術

社長向け

経営者の皆さん、退職金の準備についてしっかり考えていますか?

会社の成長や日々の経営に追われ、自分自身の将来設計は後回しになりがちではないでしょうか。しかし、会社を支え続けた自分への「最後の報酬」である退職金こそ、計画的に準備することが重要です。

とはいえ、「退職金の積立に回し過ぎて、肝心なときにお金が足りなくなった!」という事態は避けたいものです。

例えば、家族のライフイベント―マイホームの購入、子どもの学費や留学費用、老後の生活費―こうした必要資金とのバランスをどう取るかが鍵になります。

また、「節税効果を最大化したい」「どの制度がリスクが少ないのか知りたい」「複数の制度を同時に使って効率よく準備できるの?」といった疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、「倒産防止共済」「小規模企業共済」「企業型DC(確定拠出年金)」「iDeCo(個人型確定拠出年金)」といった制度を活用した節税と退職金づくりについて詳しく解説します。

1. 倒産防止共済(経営セーフティ共済)

倒産防止共済は、中小機構が運営する制度で、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための資金確保に役立ちます。特に、事業に伴う取引リスクの軽減に効果的な制度です。自営業者・法人利用可能(条件あり)

メリット

  • 掛金全額が経費として計上可能
    節税効果が非常に高く、年間240万円(最大800万円まで)の積み立てが可能です。
  • 解約時の税負担を軽減しやすい
    解約金は利益として計上されますが、経費や退職金で相殺すれば税金が発生しづらくなります。
  • 簡易迅速に事業資金等の貸付けが受けられる
    もしものときに、迅速に事業資金等を借入れできます。

デメリット

  • 退職金目的では利用不可
    倒産防止共済は事業目的のための制度であり、個人的な退職金作りの制度ではありません。
  • 掛金40ヶ月未満の解約は元本割れ
    短期利用では掛け金を下回る可能性があるため注意が必要です。中小企業倒産防止共済制度においては、40カ月以上の納付期間が経過していれば解約時の払い戻し率が100%となります
  • 起業後1年以上経っていないと、加入できない
    中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)の加入要件上、起業から1年未満では加入ができません。

2. 小規模企業共済

小規模企業共済は、事業主や個人事業主が退職金を積み立てるための制度で、廃業時や引退時に大きな助けとなります。特に「節税」と「退職金」を組み合わせた制度として利用できます。自営業者・法人利用可能(条件あり)

メリット

  • 掛金が全額所得控除の対象
    月額1,000円から最大7万円(年間84万円)まで積み立て可能で、全額が所得控除されるため、節税効果が大きいです。
  • 退職金として一括受け取り可能
    退職・廃業時、または65歳以上からの老齢給付として、共済金が受け取れます。老後資金をしっかり確保できます。
  • 年金形式での受け取りも選択可能
    長期的な生活設計に合わせた受け取りが可能で、柔軟性があります。

デメリット

  • 短期解約で元本割れリスク
    20年未満の解約時には元本を下回ることがあり、長期の加入が前提となります。

3. 企業型DC(確定拠出年金)

企業型DCは、会社が従業員や役員のために掛金を拠出する年金制度で、運用方法は個人に委ねられます。法人の1人社長や家族経営の会社にとっても魅力的な選択肢です。厚生年金に加入した法人が利用可能(1人以上の加入が条件)

メリット

  • 掛金全額が損金算入可能
    月額55,000円まで(年間660,000円)が会社の経費となり、法人税の節税効果があります。
  • 家族経営でさらに効果的
    2人会社(配偶者も役員として加入)であれば、掛金が2倍の月11万円を経費に計上可能。家族の老後資金を効率よく積み立てられます。
  • 運用益も非課税
    資産運用の複利効果を最大化し、長期的な資金形成が期待できます。

デメリット

  • 運用リスクが伴う
    投資結果が市場の変動に左右されるため、元本割れの可能性があります。
  • 導入費用や管理費用がかかる
    制度を導入するまで時間がかかります。5か月後から開始され、その後も管理手数料がかかります。ですが、そのコストを差し引てもお得な場合にご案内しますのでご安心ください。
  • 60歳まで引き出し不可
    原則として、途中で資金を引き出せない点に注意が必要です。

4. iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCoは、個人が自ら加入し、掛金を積み立てる制度です。少額から開始できるため、資金に余裕がない時期でも利用可能です。個人での利用

メリット

  • 掛金全額が所得控除対象
    給与所得者であれば月額23,000円、個人事業主なら68,000円までが全額所得控除され、税負担が軽減されます。
  • 運用益が非課税
    投資で得た収益がそのまま再投資されるため、老後資金の形成に効果的です。
  • 柔軟な掛金設定
    月額5,000円から設定でき、経済状況に応じて増減も可能です。

デメリット

  • 運用成果は保証されない
    投資商品によっては元本割れのリスクがあります。
  • 60歳まで引き出し不可
    老後資金の確保が目的のため、途中解約が原則認められ
    ません。
  • 運用に自己責任が伴う
    投資経験がない場合は、金融知識の学習が必要になります。

制度の選び方と組み合わせのポイント

事業規模や家族構成に応じて、退職金制度や節税制度を上手に組み合わせることで、老後資金を効率的に準備することができます。

組み合わせ例

「倒産防止共済」+「小規模企業共済」+「iDeCo」

「倒産防止共済」+「小規模企業共済」+「企業型DC」

1人社長の場合
「倒産防止共済」を活用すれば、事業リスクへの備えと節税効果を同時に得られます。一方、老後資金を積み立てる方法としては「小規模企業共済」や「iDeCo」が一般的です。

iDeCoは少額から始められる手軽さが魅力ですが、月々の掛金上限が23,000円(給与所得者の場合)に限られています。これに対し、企業型DCなら月々最大55,000円まで拠出可能で、積立額はiDeCoの約2倍です。

そのため、老後資金をより効率よく積み立てたい場合は企業型DCが特に有利です。

家族経営(2人会社)の場合
「企業型DC」は、2人会社(配偶者も役員として加入)であればさらに効果を発揮します。掛金を夫婦2人分で計算すると、月額最大11万円(年間132万円)を積み立てることができ、全額が会社の経費となります。これにより、大きな節税効果を得ながら、家族の老後資金を効率的に準備できます。

 

社労士みなみ
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