企業型DCの死亡一時金の相続税はどうなる?

手続き

企業型確定拠出年金(企業型DC)の死亡一時金について詳しく解説します。
企業型DCは老後資金を形成するための制度ですが、加入者が死亡した場合、遺族へ資産が「死亡一時金」として支給されます。その仕組みや手続き、注意点についてわかりやすくお伝えします。


死亡一時金の概要

企業型DCでは、加入者が資産運用を行いながら老後資金を積み立てますが、以下のような場合に死亡一時金が支給されます。

  1. 加入期間中に死亡した場合
    まだ老齢給付金を受け取る前に亡くなった場合、運用資産が死亡一時金として支給されます。
  2. 受給中に資産が残っている状態で死亡した場合
    老齢給付金を受け取り始めていても、口座残高がある場合、その残高が死亡一時金として支給されます。

死亡一時金は、運用していた投資信託などの金融商品を現金化し、遺族に一括で支給されます。年金として分割受給はできない点に注意が必要です。


死亡一時金の受給権者とは?

受給権者の指定

企業型DCでは、加入者が生前に受取人を指定している場合、その指定された受取人が優先的に受給権者となります。たとえば、特定の家族に資産を渡したい場合、あらかじめ受取人を登録しておくことでスムーズに支給されます。

受取人を指定していない場合の受給順位

受取人を指定していなかった場合、次の順位で受取人が決定されます。

  1. 配偶者(事実婚も含む)
  2. 子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹(主に生計を維持していた場合)
  3. 生計を維持していたその他の親族
  4. 上記以外の子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹

※同順位者が複数いる場合、資産は等分されます。

死亡一時金にかかる税金

課税方法

企業型DCの死亡一時金は、「みなし相続財産」として相続税の課税対象になります。ただし、以下の控除や非課税枠が適用されます。

  1. 相続税の基礎控除
    「3,000万円 +(法定相続人の数 × 600万円)」が控除されます。
  2. 死亡一時金の「退職手当金等」の扱い
    法定相続人1人あたり500万円の非課税枠が追加されます。
    例:法定相続人が3人の場合、500万円 × 3人分=1,500万円が非課税。

企業DCの死亡一時金は、「退職手当金等」の扱いとなり、退職手当金等の非課税(500万円×法定相続人の数)の適用があります。
「退職手当金等」には、勤務先から支払われる死亡退職金、小規模企業共済の死亡共済金も含まれます。

社労士みなみ
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相続の手続きに不安がある場合は、税理士にご相談ください。

注意点

死亡から3年以上経過して受け取る場合、一時所得として所得税の課税対象になります。遅れた受給は税負担が大きくなる可能性があるため、迅速な手続きが重要です。

生前に受取人を指定するメリット

生前に受取人を指定しておくことで、以下のメリットがあります。

    1. スムーズな資産受け渡し
      指定された受取人がいれば、手続きが簡略化されます。
    2. 遺族の事務負担を軽減
      亡くなった後に家族が混乱しないよう、企業型DCの存在や受取人を伝えておくことが重要です。

専門家のアドバイス

企業型DCに関する手続きや運営管理機関の特定は、遺族にとって大きな負担になることがあります。生前に「どこの運営管理機関に、企業型DCの資産があるのか?」を伝えておきましょう。」

そうすることで、遺族の負担を軽減できます。


まとめ:早めの準備が大切

企業型DCの死亡一時金は、遺族の生活を支える大切なお金です。
以下のポイントを押さえておきましょう:

  • 受取人を生前に指定する
  • 運営管理機関を家族に知ってもらう
  • 速やかに申請手続きを行う

相続に関するトラブルは、家族間で頻繁に起こる問題です。企業型DCの受け取りについても、事前に受取人を指定しておくことが重要です。

誰が受け取るのかを明確にすることで、遺族間の不和を防ぎ、手続きもスムーズに進みます。また、運営管理機関や資産状況を家族に伝えておくことで、万が一の際に遺族の負担を軽減できます。大切な家族を守るためにも、計画的な準備を進めておきましょう。

社労士みなみ
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