企業型確定拠出年金(企業型DC)を導入する最大のメリットとして、「掛金が非課税になる」「社会保険料の算定基礎から外れる」という点があげられます。
しかし、経営者様や従業員様の中には「実質的に給与の代わりに受け取るお金なのに、なぜ税金や社会保険料がかからないの?」「法律的に本当に問題ないの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。
結論から言うと、これは抜け道や裏ワザなどではなく、法律でしっかりと定められた正当なルールです。今回は、企業型DCの掛金が税金や社会保険料の算定基礎とならない「明確な法的根拠」について、分かりやすく解説します!
1. 所得税がかからない根拠は「所得税法施行令第64条」
まず、所得税や住民税などの税金がかからない理由から見ていきましょう。
企業型DCにおいて、会社が拠出する掛金は、確定拠出年金法という法律上「事業主掛金」と定義されています。
そして、この事業主掛金については、「所得税法施行令第64条」という法律において、「会社が加入者の確定拠出年金口座に掛金を拠出しても、加入者の所得とはならない」と明確に規定されているのです。
「自分の口座にお金が入るのに、なぜ所得にならないの?」と思うかもしれません。
確かに、企業型DCの口座に拠出された掛金は、間違いなく従業員(加入者)個人に財産権がある大切な資産です。しかし、このお金は原則60歳になり「受給権」が発生するまでは、絶対に引き出して受け取ることができません。
今の時点では自由に使えないお金であるため、「今すぐ所得としてカウントして税金を取るのはルールとして酷である」という考え方から、掛金を拠出した時点では所得とみなされない仕組みになっています。
つまり、単に非課税になるというよりは、「所得として課税されるタイミングが、受給権が発生する受け取り時(原則60歳以降)まで繰り延べられている(課税の繰り延べ)」というのが、正確な法的な解釈となります。
2. 社会保険料の算定基礎とならない根拠
次に、社会保険料(厚生年金保険料や健康保険料など)の算定基礎から外れる理由についてです。
社会保険料は、原則として従業員に支払われる「報酬(毎月の給与など)」をベースにして計算されます。
しかし、企業型DCの事業主掛金に対して社会保険料がかからない根拠は、先ほどの税金の考え方とリンクしています。つまり、「社会保険料の算定対象となる所得(報酬)が、掛金を拠出した時点ではまだ発生していないとみなされているため」です。
たとえば、給与の一部を減額して掛金原資を捻出する「選択制(給与減額型)」を導入した場合を考えてみましょう。
従業員は「現在の給与として現金で受け取るか」、それとも「将来のための事業主掛金として拠出するか」を選択します。ここで掛金として拠出することを選んだ分のお金は、前述の通り法的に「現在の所得(報酬)」ではなくなるため、結果として社会保険料を計算するためのベース(標準報酬月額などの算定基礎)から外れることになります。
これにより、将来の老後資金を効率よく積み立てながら、現在負担している会社と従業員双方の社会保険料を適正な水準に抑える効果が期待できるのです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
企業型DCの掛金に税金や社会保険料がかからないのは、「所得税法施行令に基づくルール(課税の繰り延べ)」であり、「拠出時点では所得が発生していないとみなされるため」という明確な法的根拠に基づいています。
国が老後の資産形成を後押しするために用意した、この強力な優遇制度。法律で守られた安心の仕組みを正しく理解し、会社と従業員の豊かな未来のために、ぜひ企業型DC(SBIいろどりプランなど)の活用を検討してみてはいかがでしょうか?


