「今までiDeCo(個人型確定拠出年金)で老後資金を準備してきたけれど、会社で企業型DC(SBIいろどりプラン等)を導入することになった!」
そんな時、現在iDeCoで運用している資産を企業型DCへ移換(お引越し)できることは、以前の記事でもお伝えした通りです。
そこで多くの方が気になるのが、「将来、老後資金を一時金で受け取るときの『退職所得控除』はどうなるの?移換するとiDeCoの加入期間はリセットされてしまうの?」という疑問ではないでしょうか。
結論から申し上げますと、iDeCoの加入期間は企業型DCの期間としっかり「通算(合算)」することができます!今回は、その仕組みと注意点について分かりやすく解説します。
1. おさらい!一時金受取時の「退職所得控除」のメリット
まず、企業型DCやiDeCoで積み立てた年金資産を、原則60歳以降に「一時金」としてまとめて受け取る場合、税務上は「退職所得」という扱いになります。
この退職所得には、「退職所得控除」という非常に大きな非課税枠が用意されており、受け取り時の税金負担を大幅に軽減できるのが確定拠出年金の大きなメリットです。
この退職所得控除の非課税枠の金額は、「積立期間(加入していた年数)」をベースに計算されます。例えば、積立期間が30年ある場合、最大で1,500万円までが非課税になるなど、長く加入していればいるほど非課税枠が大きくなる仕組みになっています。
2. iDeCoの加入期間は企業型DCと「通算」される!
では、iDeCoから企業型DCへ資産を移換した場合、この「積立期間」の計算はどうなるのでしょうか。移換を機に、またゼロから年数を数え直しになってしまうと損をしてしまいますよね。
ご安心ください。確定拠出年金のルールでは、「通算加入者等期間」という考え方があります。これは、企業型と個人型(iDeCo)それぞれの「加入者期間」や「運用指図者期間」をすべて通算(合算)して計算する仕組みです。
この通算加入者等期間は、老齢給付金の「受け取り開始年齢」を決める重要な基準(10年以上通算されていれば原則60歳から受給可能など)となりますが、退職所得控除の計算に用いられる期間においても、この通算された期間がベースとなります。
つまり、せっかくiDeCoで早くから資産形成を始めていた「期間」のアドバンテージがリセットされることはなく、移換先の企業型DCの期間と合算され、将来の非課税枠にしっかりと反映されるのです。
(ただし、iDeCoに加入していた期間と、会社の勤続期間(他の企業退職金等の計算期間)が「重複」している年数がある場合は、その重複期間は二重にカウントされないといった細かな税務上の計算ルールがあります。実際の控除額の詳細な計算につきましては、専門家や税務署へのご確認をお願いいたします。)
3. 移換手続きを行う際の重要な注意点
iDeCoの資産と期間を企業型DCにまとめることは、窓口が一つになるため管理の面でも控除の面でも大きなメリットがあります。ただし、実際に移換手続きを行う際には、ひとつ重要な注意点があります。
それは、「iDeCoで現在保有している運用商品(投資信託など)を、そのままの形で企業型DCへ移すことはできない」という点です。
移換する際は、個人の希望に応じて手続きを行いますが、これまでiDeCoで運用していた商品は一旦すべて売却され、「現金化」された状態で企業型DCの口座へ移換されます。
そして、移換後の新しい口座において、改めて企業型DCのラインナップから運用商品を選んで買い直すことになります。
まとめ:期間を通算して、賢く退職金を受け取ろう!
iDeCoから企業型DCへ資産を移換した場合、それぞれの「加入期間」はしっかりと通算されるため、将来一時金として受け取る際の「退職所得控除」の計算において不利になることはありません。


