企業型確定拠出年金(企業型DC)で老後に向けた資産形成をしている最中に、出産や育児、ご家族の介護といったライフイベントを迎える従業員の方も多いでしょう。
仕事を一定期間お休みする際、これまで毎月積み立ててきたDCの掛金や運用はどうなるのでしょうか?今回は、育児休業や介護休業を取得する際に絶対に知っておきたい「企業型DCの注意点とポイント」を分かりやすく解説します!
1. 掛金はお休みできる?(無給期間の取り扱い)
まず一番に気になるのが、「休業中で給与が出ない間も、毎月掛金を払い続けなければならないの?」という点です。
企業型DCでは、原則として掛金の積立てを途中でストップすることはできません。しかし、育児・介護休業期間中(会社都合以外の事由の場合に限る)のうち「無給の期間」については、会社の規約に定めておくことで掛金の積立てを停止することが可能です。
休業して掛金をストップしている間は、これまでの資産を運用するだけの状態(実質的な運用指図者)となります。以前の記事でも解説した通り、個人のiDeCoであれば運用のみでも毎月手数料が引かれてしまいますが、企業型DCならお休み中も制度運営に関わる手数料は「会社負担」のままです。
2. 要注意!「選択制」は給付金が減る可能性がある
次に、選択制企業型DCを利用して給与の一部を掛金に振り替える「選択制」を導入している(またはこれから導入する)企業様・従業員様が、最も注意すべきポイントです。
選択制で掛金を拠出すると、社会保険料の計算ベースとなる「標準報酬月額」が下がります。これにより日々の社会保険料負担は適正化され手取りが増える効果が期待できますが、その反面、標準報酬月額をベースに計算される社会保険の標準報酬月額が下がる場合があります。
その結果、将来の厚生年金額や、傷病手当金・出産手当金・育児休業給付などの支給額が相対的に少なくなる可能性がある点には注意が必要です。
3. 具体的にいくら減るの?シミュレーションで確認
では、実際に休業した際の給付金はどのくらい減るのでしょうか。シミュレーションを見てみましょう。
年齢30歳・給与月額24万円の方が、毎月1万円の掛金を拠出する場合(※)
- 育児休業給付金(休業開始から180日目まで):1日当たり約223円の減額見込み
- 育児休業給付金(181日目以降):1日当たり約167円の減額見込み
- 介護休業給付金:1日当たり約223円の減額見込み
このように、毎月1万円を非課税で積み立てられるメリットがある一方で、休業した際の給付金が1日あたり百数十円〜二百数十円程度少なくなります。また、同じ理由から、産休中の「出産手当金」や、病気やケガで長期間休む際の「傷病手当金」も減額される可能性があります。
まとめ:制度を正しく理解して賢く活用しよう!
育児や介護休業に入る際、企業型DCには「規約により無給期間の掛金を一時停止できる」「休業中も手数料は会社負担で資産を守れる」という非常に心強いメリットがあります。一方で、選択制を利用している場合は「休業中の各種給付金がわずかに減る可能性がある」というデメリットも存在します。
これから選択制の企業型DCを導入する経営者様は、このメリット・デメリットの両方を従業員へ丁寧に説明することが求められます。
従業員の皆様も、ご自身のライフプランや休業予定を見据え、目先の手取り額や年金・給付金(厚生年金額や、傷病手当金・出産手当金・育児休業給付)と、将来に向けた非課税での資産形成のバランスをしっかりと見極めた上で、最適な掛金額を設定していきましょう!

